モンゴロイドは、その名のとおり中央モンゴルで約5万年前に誕生したといわれ、エスキモー、アメリカ原住民(インディアン)、南アメリカのインディオ、そしてオーストラリア原住民(アポリジニ)など南太平洋諸島の人々のルーツでもある。
日本人も、身体的な特徴などからモンゴロイドであるのは間違いないのだが、モンゴロイドがモンゴルから拡散していった時期やルートが多様なため、日本列島に到着するまでの足取りは明確ではない。
しかも縄文人と弥生人では身体的な特徴が異なるために、縄文時代と弥生時代のあいだに何が起きたのかについて解釈の余地が残されている。
前述のように、転換説では縄文人がそのまま弥生人に進化して、現代日本人のもとになったと主張している。
いっぽう渡来説では、弥生時代から古墳時代にかけてアジア大陸から渡来してきた人たちが、日本列島に定着していた縄文人から主導権を奪って、現代日本人の基盤を作ったと説明する。
これには、卑弥呼が君臨した邪馬台国のあった場所をめぐる論争も関係することから、多くの分野の専門家がさまざまな手法によって研究を続けている。
そんななかで、日本人の起源や系統についての研究を行う遺伝子の専門家も増えてきている。
これまで考古学や形態人類学的な観点から行われてきた研究を、遺伝子レベルからアプローチしようというものだ。
とくに「縄文時代の人骨からDNAを抽出して、現代日本人などとの比較分析に成功した」ことで有名なのが、国立遺伝学研究所助教授のH聴氏である。
H氏のグループが研究に採用した手法も、これまでの例と同じようにミトコンドリアDNAの配列を比較分析することで、人のルーツをグループ化するというものだ(ミトコンドリアDNAのどの部分を解析するかといった細かい手法はこれまでと異なる)。
まず、静岡、青森、沖縄の3地域から20060人分の胎盤を集めて、ミトコンドリアDNAの配列を比較してみた。
青森は日本の北部で沖縄は日本の南端、静岡は日本のほぼ中央に位置するところから、このようなサンプルの集めかたになっている。
そしてタイプ別に分けてみると、青森だけにしかないタイプが46パーセント、静岡だけに見られるタイプが42パーセント、沖縄だけのタイプが35パーセントもあった。
つまり、その地域によってDNA配列のパターンに異なる特徴があるのがわかった。
さらにパターンをグループ化してみると、静岡の場合には大きくグループ1とグループ2に大別された。
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